小説家・笙野頼子の最新情報をまとめたサイト。

お知らせばかりの近況報告

文・写真=笙野頼子 update:2020/05/07
last update:2020/05/12

新緑の季節、静かに注意深くお過ごしと存じます

猫の看病と生活の立て直しで時間がなく、一層愛想のないご報告です(申し訳ありません)

1新刊『会いに行ってーー静流藤娘紀行』、刊行が一か月遅れ六月十八日に(コロナ対応です)

その一方、なぜかサイン本を七十冊も作ることに

通常は本が出来上がってから会社へ書きに行くのですが今回はここもコロナ対応

製本前の見返しを家に送ってきて先に私がサインしてしまうのだそうです(その後製本)

すでに担当は在宅勤務、校閲から何から普段と違います

ともかく感染を防ぐため接触を避けて作りました

なので五月中は旧作を読んでいただき

できるだけお家でお過ごしくださいますようお願いいたします

2水晶内制度、エトセトラブックスから復刊いたします。

版元のツイッターで書名が発表されたためここにも明かします

前回復刊と申し上げたのはこれ

こちらでも同時にご報告すればよかったのですが

実は私の不手際で遅れました

モモチさんにご迷惑をおかけしてしまいました

3河出の『思想としてのコロナウィルス禍』に短編小説を発表しています

最初はエッセイの予定でしたが書きだしから小説になってしまったのでそのまま仕上げました

これも変更したことをモモチさんに報告していなかったせいで

ご本人のツイートを訂正していただくことになってしまいました(モモチさんごめんなさい)

この新作はむろん小説であって思想にはなっていません、現在コロナで見えなくなっている観点とその周辺、前後を描き、例によって経済主権の危機、自由貿易について訴えています

五月の種苗法改悪審議についても内容そのものではなく、それまでの流れにおいて絶対反対すべきという見地から書いています

4今は群像のための短編を執筆中

佐倉市のチューリップ刈り取りについてもここで触れる予定、締め切り今月です

飼い猫ピジョンさん1

5ピジョンはこの前のご報告直後、結局また皮膚の腫瘍から出血してしまい緊急手術しました

相当な高齢猫ですが全身麻酔から無事に戻ってきてくれました

切ったのは家に来た時からあった腫瘍で良性と診断されていたもの、年齢リスクがあるので今まであえて手術しませんでした、この二月まではそれで無事でしたところが、

最初アカギレのような小さい傷を発見、怪我だと思いました、しかもすぐきれいに治ったのです。なのに資料室に記事を出してもらった直後にまた出血しました

そこで動物病院と相談、「前は良性と判断していたけれどこれは途中から悪性になったケースではないか、高齢でも手術した方が」と言われました。大変迷ったのですがもらった猫シェルターの方も勧めるので決断しました

一方自分の責任で麻酔してそのまま永遠の別れになってしまうかもしれないと思うと、後遺症の心配も含め、前日まで迷い続けでした

そもそもこのひとの前歴はあまりわかっていない、ただ二十三区のマンションで一人住まいの男性に溺愛されていた、ということだけです。飼い主の突然死でシェルターからうちへ、これでは判断するデータが少なすぎる

年齢も現在、十四歳または十六歳とはっきりしていない、まあどっちにしろ全身麻酔だけでも心配な高齢です、そのうえ慢性腎不全とアレルギーがあります 、マイナスだらけです

ただしこのひとのわがままと絶叫、疾走、夜中に私をたたき起こしてキドナを一口だけ作らせる迫力はすごい

年齢より元気、そこに希望があるようにも思えまして、結局キャンセルはしませんでした

手術の二日前に血液検査、これは一週間前からいつでもと言われていました、前日は午後九時から絶食、当日朝九時から水も禁止

手術自体は簡単なものだそうで午後二時過ぎから三十分、患部と周辺の正常部少しをすっぱりと切除七針縫う、麻酔は最も安全で調節可能の、すぐ覚める方法を選択し、アクシデントに備えて点滴しながら

結果?起きてすぐ絶叫、当日夕方無事帰ってきました、帰るとまたもや疾走「ごはーんっ!」、しかし水一口も深夜まではけして与えません、ごはんのほうは翌日から少しずつ様子を見ながら、傷口の治りは早く抜糸も無事済みましたが、今も絶対に油断できません。

麻酔の影響については一か月後でも心配は心配、腎臓や肝臓にひびく場合がある

切り取った腫瘍は検査に出し、低悪性で転移のまずないものと判明しました、しかしそれでも同じところや神経を伝って再発する場合があるそうです、うちのは一見良性に見えるような外見のもので、しかし猫にはまれな種類の腫瘍でした

ただもし再発しても高齢なので進行は遅いだろうと

と書くと一応安心そうですが実はいまいち食欲が戻らず、よく食べるようになったのは術後三週間から

今もご飯を差し出すと最初は勢いがあるのですが途中で止めてしまいます飼い主は凍り付いている?場合ではない

体重がなかなか元に戻りませんでしたが最近やっと回復してきました、今はいろいろ少しずつ食べさせたり本人が駆け上がるという階段をできるだけ抱っこで登ってもらっています、油断するとすぐに疾走してカロリーを消耗してしまいますので

というわけで当分愛想ない(けど猫と私は幸福な、しかしまだまだ心配な)日々が続きます、ご了承くださいませ

6繰り返して申し訳ないですが今の護憲フィールドワークについて、今後の自分の表現を守るため、今すぐ質問にお答えしたり、詳細を述べることはまったくできません少しでも関連のある事一切についてそうするしかありません

なおかつコロナで今取材が停止されています予定も立ちません

いつかはご報告しますのでどうかお待ちください

7農民連の女性部ツイッターにStay Home But Not Silentと書いてあります、同じ心境です

感染弱者なので外に出られません、しかし家にいても反自由貿易、女性差別ノー、できることを続けます

ちなみにこの農民連女性部とは国際的な性暴力反対の団体と長く連帯し、昨年十一月二十五日の国際性暴力反対デーにおいても国会前抗議行動を行っていた方々です

今回の種苗法改悪に反対する署名はファックスではだめなので書いて郵送しました。佐倉市の共産党後援会にもお願いしてご協力いただきました(ありがとうございました)。

次の短編の仮題も「ひきこもりこえをあげよ--台所不穏」というものです

そのほかについてはすべて次作で

どうぞよろしくお願いいたします(文藝はしばらくお休みいたします)。

        笙野頼子

追記

Stay Home のあとにButが入っていなかったのは私の打ち間違いです

失礼いたしました

モモチさんが謝ってくれて申し訳なかったです

作者のミスなので

飼い猫ピジョンさん2