文・写真=笙野頼子 update:2022/03/15
last update:2022/03/25
ご無沙汰しております。
梅が咲きました。今年は白系が少しだけ。これ「思いのまま」という種類です。咲いてみるまでは紅梅か白梅かピンク色か斑入りかも判らない。梅本人には「思いのまま」、梅の主にとっては「どう出るか判らない不穏な花」。
猫は元気です。しかし痩せてきました。でもおとなしくはなりません。ほら、右の耳は立っているけど。
左は少し垂れている。これ、耳の中の炎症は治ったけどその後に小さいおできが出来てしまったせい。
でも危険なものじゃない。少なくとも二年前の低悪性末梢神経鞘腫の転移ではない。手術から二年間再発も転移もなし。
この子が家に来て四年越えた。あと半年で死ぬと三回言われたけど。とりあえず元気。
いつまで一緒にいられるかは不明。なんたって不明だよ誰が猫なんぞ発明しやがったのだ。これからはできるだけ一緒にいる。
ピンクの毛布買ってやった。喜ぶまいことか(参照読書猫)。「あらあなたこんないいの、いいの?」とごろにゃん。
「いまうちおかねがないんでしょう?」って、優しいね。でも最近洗いかえがいるからね。
「そういえば、あたくしここでおトイレするときもちいいものだからつい」語りがちょっと緩んできたが絶叫は変わらないピジョン十六歳または十八歳。ハ十センチくらいは軽く跳び上がる。やや衰えたが疾走も、毛並みも艶々。
いいよ、いいよ、そろそろ本も出るし今からここで予約読者に装丁見本を公開して選んでもらうからね。
「つまり、あたくしの写真集なの?」ごめん『硝子生命論』とそれとは当分延期なんだ。というのもこっちが本の解説渡すの遅かったりしてね。
というわけでカバーの見本五種類から二種類を公開します。
まず、帯の緑含めて紫、白、緑の三色。身辺雑記の本らしくて安心感ある。猫は舌だし。
心配なのはピジョンが今「差別主義者の猫」と言われて憎悪にさらされていること。私は差別なんかしていないし憲法が認めたことしか主張していない。ていうか「差別主義者の猫」はほかの猫と何が違うのか。どこが悪いのか。医学的生物学的にも何の違いもない。
次は、1913年の記念号とあります新聞は薄い緑、こっちの方が事情をよく表現していていいかも。でも今までの読者はどう思うかな?
離れていった人の大半は今までもあれっと思っていた人達、私をずっと読んでいた?まさか?2006年から私の代表作は「差別的」でした。何も変なことは書いていない小説。
さて、どっちがお好みか、自由なご意見を。お?
今これを書いている最中に新刊案内が出てきました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
笙野頼子
笙野です。
先日はご意見ありがとうございました。
それらすべてを拝読の上で要約しますと、
新聞優勢しかし猫も捨てがたいと、そこで?
新聞版にアクセントとして猫成分追加決定!
ただカバー表の色と比べて茶虎の毛色は派手ではないのかしら?
つまりこのピジョンをモノトーン等にしたほうがいいですかしない方がいいですか?
という一点だけであとはほぼ決定です。
さて見ての通り帯裏は憲法二十一条
書店から撤去されるときはこの憲法も同時撤去されます・そんなの違憲でしょ!
帯おもては内緒です
では次
本体表紙にも工夫
この本のカバーをはがしてもはがせない憲法二十一条
図書館から撤去しろという時にはこの憲法も(以下)略
色指定、紫、白、緑のサフラジェットカラーをさりげなく配置。
この三色は、紫、白、黄色のもあるそうですが。
これは緑でしかも渋め、あるいは銀髪のサフラジェットかな?
なお、カバーは白い紙にグロスをかけています。
今は再校が来るのを待っているところですが、
刻々と世界情勢も変わっていて落ち着きません。
すべてが一気に判る小さい核心、
それを隠蔽して熱狂するだけの報道、むなしい。
女性を滅ぼせば人類が滅ぶのに。
見本ができたらまたご報告いたします。
笙野頼子